猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

8月24日週の猫俳句

大根引き
婆より先を
猫が行く

松浦華世

解 説

大根を引きに行くおばあちゃんと、その先を、早く早くと急かすように歩く猫。なんともほほえましい情景です。季語は「大根引く(き)」で冬。文字通り、大根を引っこ抜いて収穫することです。

おばあちゃんにとって、寒い冬の畑での大根収穫は重労働です。猫は、おばあちゃんに甘えたくて、足元でじゃれているだけかもしれませんが、周囲の人には、童話の「おおきなかぶ」のように、猫がおばあちゃんを手伝おうとしているように見えるかもしれません。

飼い犬だったら、おばあちゃんの後を付いてくるところですが、追い抜いてしまうところに、気まぐれな猫らしさが感じられますね。猫の手は借りられなくとも、冬の大根畑までつきあってくれるだけで、おばあちゃんも温かい気持ちになったのではないでしょうか。

8月24日週の猫写真

写真提供:福岡県 レックのママさん

 

8月10日週の猫俳句

暑き日や
先づ猫が邪魔
夫が邪魔

上野さち子

解 説

「先づ猫が邪魔夫が邪魔」と、猫と夫を並列にして、立て続けに片づけていくような表現が面白い句です。「夫」は、つまと読みます。季語は「暑き日」で夏。太陽がギラギラ照り付ける暑い日に、妻が掃除をしている光景が浮かんできます。

さあ、まずはリビングから。掃除機をかけようとした妻の行く手を遮るのは、座布団の上にでーんと寝そべった飼い猫。掃除機のスイッチを押して追い立てると、しぶしぶ猫は起き上がり、恨めしそうに一声鳴いて、寝室へ移動します。

次の障害物は夫。飼い猫同様、座布団を枕にだらしなく寝ています。「ほら、掃除するからどいてどいて!」半分寝ぼけた夫は、猫を追って寝室へ。そこは安住の地ではなく、またすぐに追い立てられることになるとも知らずに…

8月10日週の猫写真

写真提供:国分寺市 マメさん

 
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