猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

7月20日週の猫俳句

香水を
猫に嗅がせて
鳴かれけり

進藤一考

解 説

顔をしかめる猫の姿が目に浮かんできます。季語は「香水」。香水は一年中使われていますが、体臭が気になる夏によく使われるということで、夏の季語となっています。

猫の嗅覚は、人間の20万倍以上といわれています。だから、どんな素敵な香りの香水も、鼻先で嗅がされては、猫にとっては迷惑なだけでしょう。猫が鳴いたのは、警戒か抗議の声に違いありません。

猫に香水を嗅がせたのは、飼い主でしょうか。もしかすると、気難しい先生や上司にお中元を届けにいった人が、普段いじめられている仕返しとして、相手の飼い猫にイタズラをしたのかも。猫にとっては災難ですが、こんな仕草にも、猫の愛らしさが感じられる一句です。

7月20日週の猫写真

写真提供:東京都 舟さん

 

7月13日週の猫俳句

花野人
バスケットより
猫放つ

小松世史子

解 説

この句の季語は「花野」で秋。「花野人」とは、「花野にいる人」を省略した表現です。秋の草花が咲き満ちた野原に、バスケットに入れていた猫を解き放つ。とても開放感のある猫句です。

普段は室内で飼われている猫ならば、いきなり飛び出して走り回ったりせず、おずおずと花野に降り立ち、最初は周囲を警戒しておとなしくしているかもしれません。でも、慣れてくれば、バッタや蝶を追いかけたり、ふわふわの草花の上に寝転んだり、楽しく遊び始めるはずです。

飼い主は、なぜ猫を花野に連れてきたのでしょうか。猫の運動不足解消のためか、自分自身が仕事や生活の中で、息苦しさを感じていたのかも。花野で楽しく遊ぶ猫をみながら、飼い主自身の心も、きっと解き放たれていくことでしょう。

7月13日週の猫写真

写真提供:群馬県 ankoさん

 
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