猫俳句バックナンバー
8月10日週の猫俳句
暑き日や
先づ猫が邪魔
夫が邪魔
上野さち子
解 説
「先づ猫が邪魔夫が邪魔」と、猫と夫を並列にして、立て続けに片づけていくような表現が面白い句です。「夫」は、つまと読みます。季語は「暑き日」で夏。太陽がギラギラ照り付ける暑い日に、妻が掃除をしている光景が浮かんできます。
さあ、まずはリビングから。掃除機をかけようとした妻の行く手を遮るのは、座布団の上にでーんと寝そべった飼い猫。掃除機のスイッチを押して追い立てると、しぶしぶ猫は起き上がり、恨めしそうに一声鳴いて、寝室へ移動します。
次の障害物は夫。飼い猫同様、座布団を枕にだらしなく寝ています。「ほら、掃除するからどいてどいて!」半分寝ぼけた夫は、猫を追って寝室へ。そこは安住の地ではなく、またすぐに追い立てられることになるとも知らずに…
8月10日週の猫写真
写真提供:国分寺市 マメさん
8月3日週の猫俳句
小春日の
猫の入りくる
診療所
瀧澤伊代次
解 説
飲み屋やたばこ屋、お寺、駅など、いろんな場所に名物猫や看板猫が存在しますが、この句には、診療所に出入りする猫が登場。猫院長とか、猫ドクターとか、いろんなあだ名を付けられ、地元の患者さんたちの間で人気者になっているのかも。
この句の季語は、小春日です。春という言葉が入っていますが、初冬の季語で、まるで春のような、おだやかで暖かい天気の日をさします。
診療所にやってきた猫には、お気に入りの場所があるのかもしれません。窓から小春日の暖かい陽ざしが入る待合室の椅子のうえに、前足と後ろ足を折りたたむ香箱座りで、目を細めている猫の姿が思い浮かびます。診療所に集まる患者さんたちにとって、そんな猫の姿が、何よりも癒しになるのではないでしょうか。
8月3日週の猫写真
写真提供:横浜市 すのぅさん