猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

11月15日週の猫俳句

クリスマスツリー
登る猫ごと
点滅す

河添美羽

解 説

今回も第一回猫俳句大賞の佳作受賞作品から。猫はあらゆるものを登ります。洋服ダンス、観葉植物、そしてクリスマスツリーにも。

 

せっかく飾り付けたオーナメントや、雪に見立てた綿が床に散らばり、文句をいいながら片づける飼い主。クリスマスツリーの頂上付近にしがみつき、ドヤ顔の猫。そんな猫ごと、ぴかぴかと華やかに点滅するイルミネーション。

 

慌ただしくも、楽しそうな風景が心に思い浮かびます。字余りの「クリスマスツリー」は、猫が駆け登っていく勢いを感じさせますね。愛猫と一緒にすごすクリスマスは、きっと最高に幸せなひと時になるでしょう。この句の季語はクリスマスツリー。「聖樹」とも呼ばれ、多くの俳人がこの季語でクリスマスの風景を詠んでいます。

11月15日週の猫写真

写真提供:福岡県 花木柳太さん

 

6月1日週の猫俳句

冬晴や
亡き猫の名の
パスワード

岸本晴朗

解 説

第一回猫俳句大賞の佳作受賞作品。この句は、猫をテーマとしていますが、実際に猫が登場するわけではなく、亡くなった猫の名前を詠んでいます。インターネット銀行口座を作るときなどに、パスワードの設定が必要になりますが、そのパスワードを、猫の名前にしているようです。例えば、6月2日に生まれた愛猫のモモなら、momo0602といった感じでしょうか。

パスワードを入れるたび、飼い主は愛猫のことを少し思い出すのかもしれません。この句の季語は「冬晴れ」。少し寒さが和らぐ穏やかな冬の晴れた空へ、天国の猫への祈りがのぼっていくような、さりげなくも深い愛を感じる一句です。

6月1日週の猫写真

写真提供:和歌山県 中村まふゆさん

 
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