猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

11月24日週の猫俳句

猫が舐むる
受験勉強の子の
てのひら

加藤楸邨

解 説

季語は「受験」で春。傍題には「入学試験」「受験子(受験生)」など。

「受験」が春の季語なのは入学試験が主に2~3月に行われるためです。でも、実際の受験勉強はずっと前に本格化していますね。

受験勉強では、ふと孤独感に苛まれることもあるかと思います。そんな時に、掲句のように猫が傍らにいて手のひらを舐めてくれたなら、何だか心強く、少し肩の力を抜くことができるかもしれません。

掲句はかなり大胆な破調(5・7・5のリズムから外れること)の句で、 ザラザラとした猫の舌の感覚、猫が舐める頭の往復のリズムにも繋がるところがあるように思えてきます。

11月24日週の猫写真

写真提供:愛知県 えるさん

 

11月17日週の猫俳句

薄目あけ
人嫌ひなり
炬燵猫

松本たかし

解 説

季語は「炬燵猫(こたつねこ)」で冬。

猫にまつわる冬の季語には、「かじけ猫」、「竈猫(かまどねこ)」等もあります。猫が凍えていたり、炬燵や火の消えた竈で暖を取ったりする姿を季語としたもので、いずれも寒さに弱い猫の冬らしい姿を本意としています。

掲句の猫は、のんびり炬燵で暖まっていたところを人間にうるさくされたか、炬燵布団を持ち上げられて瞬時に冷気を感じたのでしょう。「邪魔しないでよ」と薄目をあけ、すぐに目をつぶる猫の顔が想像されます。

人嫌いだなあなんて言いつつ、そんな素っ気ない猫の表情も人間側は大好きです。炬燵に猫がいてくれる冬のあたたかさ、きっと特別ですね。

11月17日週の猫写真

写真提供:神奈川県 さちよさん