猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

7月12日週の猫俳句

すれ違ふ
白猫の背に
かなぶんぶん

くま鶉

解 説


第四回猫俳句大賞の佳作句より。

白猫のやわらかな背中、そこに小さな緑色のつやつやしたカナブンが付いていたという大小・色・質感の対比が鮮やかな一句です。
すれ違う人間の目から猫の背を見下ろすカメラワークも自然で、景を想像するとカナブンに夏の日差しが当たって一瞬きらっと光ったようにも見えてきます。
季語は「かなぶんぶん」で夏。

猫俳句大賞では季節問わず猫をテーマにした俳句を応募いただけますが、実は季節の中でも圧倒的に応募作が少ないのは夏の句です。
一方で、春や冬の句はとても多い印象です。
猫そのものが季語になっている(春は恋猫・子猫、冬は炬燵猫など)ことや猫のあたたかみの感じられる季節だからなのかも?と予想しています。

もちろん応募作全体の季節の偏りによって審査基準が変わることはありませんが、掲句のような夏ならではの猫の句にも是非チャレンジしてみてくださいね。
ご応募お待ちしております!

7月12日週の猫写真

写真提供:熊本県 鐵谷知会子さん

 

11月29日週の猫俳句

暴れ猫
蜜柑の山を
崩しけり

西章泉

解 説

第三回猫俳句大賞の入選句より。季語は「蜜柑」で冬。

冬の猫の句といえば、まずイメージするのは炬燵でのんびり過ごす猫。また、炬燵からの連想では蜜柑も思い浮かべられますが、蜜柑の皮には猫のからだに有害な成分が含まれるそうです。

それを知ってか知らずか、掲句では猫が勢いよく蜜柑の山を崩しています。 手遊びに山のように堆く積んでいた蜜柑の山へタックルしたのか、山盛りの蜜柑の籠を伝家の宝刀・猫パンチで薙ぎ払ったのか。

「暴れ猫」という表現から、猫の野性味、動きの機敏さが感じられますね。 寒さの厳しい冬でも、家の中で元気に過ごす猫の生き生きとした様子が目に浮かびます。

11月29日週の猫写真

写真提供:神奈川県 さちよさん