猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

11月16日週の猫俳句

小春日の
猫に鯰の
ごとき顔

飯田龍太

解 説

猫の頭を撫でている時、猫の耳を手でぺたんと折ると、アザラシみたいな顔になりますよね。愛嬌のある丸顔とヒゲの組み合わせが、そう感じさせるのでしょうか。この句ではアザラシではなく、「鯰(ナマズ)のごとき顔」と描写されています。アザラシよりも、さらにぐにゃんと弛緩して、とろけそうな顔を想像してしまいます。

この句の季語は「小春日」です。小春は、春ではなく陰暦10月の異称で、小春日とは、まだ本格的な冬に入る前の、春を思わせる晴れた日のこと。暖かな日差しを浴びてごろ寝する、リラックスの極致にいる猫は、確かにナマズのようなぼんやり顔に見えるのかもしれません。ヒゲもだらんと垂れ下がっていることでしょう。

きょうは小春日だな、と感じたら、猫が集まりそうな公園や空き地の日溜まりに行ってみましょう。とろけそうな顔をした猫ナマズが、大漁かもしれませんよ。

11月16日週の猫写真

写真提供:東京都 小谷由果さん

 

9月28日週の猫俳句

蚊柱に
猫が片手を
入れにけり

鈴木鷹夫

解 説

皆さんは、蚊柱をみたことがありますか?夏の夕方になると、畑や河川敷などにユスリカが群れ集まり、まるで柱のようにかたまって飛ぶことから、その名前がつきました。蚊は夏の季語です。

下校中の子供たちが、蚊柱を発見して、面白がって砂を投げたり、棒きれを振り回して追い散らしたりする光景はよく見られますが、この句の猫も、蚊柱に興味津々です。おっかなびっくり、まずは蚊柱の中に片手で軽めのジャブを打ち込んだ、という感じでしょうか。

危険がないことがわかると、猫は、全力パンチで蚊柱をひっかきまわそうとしたりするかもしれません。いくら猫パンチを浴びせても、煙のように手ごたえがない蚊柱に、やがて興味を失って、美味しいごはんが待つお家に帰っていったのでしょうか。ちょっとおまぬけで、愉快な猫の姿が思い浮かぶ一句です。

9月28日週の猫写真

写真提供:東京都 小川智之さん