猫俳句バックナンバー
7月16日週の猫俳句
点描の
黒猫の眼の
夜寒かな
堀本裕樹

解 説

『短歌と俳句の五十番勝負』(新潮文庫/穂村弘・堀本裕樹著)より。
作者はお題である【黒】の一字から「黒猫」、つづいて「点描」を発想し、
天から降りて来るようにするりと出来上がった一句だったと述懐しています。
黒と点、猫と描はそれぞれ構造の似た漢字です(「眼」も遠くない)。
掲句をじっと眺めていると、どことなく無機質な、底知れぬ冷たさを感じてくるのは何故なのでしょうか……。
季語は「夜寒」で晩秋。
7月16日週の猫写真
写真提供:東京都 美羽さん
7月4日週の猫俳句
蜜柑から
猫へとかわる
箱の主
住吉和歌子

解 説

第六回猫俳句大賞 佳作句より。
猫は箱が好き、ですよね。
長く猫と暮らす友人が "あるある話”として「絶対に好きだろうと思って通販でおもちゃを買ったのに、猫は全く興味を示さなくて、通販の箱を気に入ってずっと中に入ってる」と教えてくれたことがあります。
掲句も、猫と暮らす人にとって本当によくわかる景なのでしょう。
ダンボール箱にみっしり詰まった蜜柑を食べていき、蜜柑が無くなって箱を片付けようと思っていたのに、箱はすっかり猫の居場所になっていた。
蜜柑を食べきった、猫が箱を占領していた、どちらもいつの間に?という時間変化と、「箱の主」の表現がユニークな一句です。
季語は「蜜柑」で冬。
こちらの句を佳作に選ばれた及川眠子さんのコメントはこちらからご覧いただけます。
7月4日週の猫写真
写真提供:神奈川県 さちよさん

