猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

1月27日週の猫俳句

恋猫や
ポンと深夜の
メール来る

冨沢賢

解 説

季語は恋猫で初春。深夜に、雄猫たちがワオワオと求愛の声をあげているのを聴いているところへ、「ポン」とメールが届きます。ポン、というのが、まるで猫の肉球のスタンプを押されたような小気味よい響きですね。

猫たちが恋を歌いあげているときに届いたメールは、どんな内容なのでしょう。やっぱり、恋人からのラブレターでしょうか。深夜に作られたメールですから、理性を飛び越えた情熱的な内容かもしれません。

恋人からの便りを待ちながら、深夜を悶々と過ごしている状況は、季語の「恋猫」にぴったりですね。恋猫は江戸時代から人気の季語で、猫の恋、浮かれ猫、猫の妻など様々な表現(傍題)で、たくさんの名句が作られています。

1月27日週の猫写真

写真提供:東京都 たまみさん

 

12月9日週の猫俳句

猫に貸す
蒲団の隅や
クリスマス

田川飛旅子

解 説

猫を飼っていて、嬉しいことのひとつが、冬場の寒い夜などに、自分の布団の中に入ってきてくれること。猫は気まぐれで単独行動を好む動物といわれていますが、そんな猫が甘えてくる姿は、たまらなく可愛いものです。

この句の猫も、飼い主の布団にやってきます。季節はクリスマス。夜の寒さも身にしみる頃です。クリスマスには華やかなイメージもありますが、「蒲団の隅」という言葉からは、どことなく寂しさが漂ってきます。周りの人々がパーティーで盛り上がっている中、この句の主人公は、一人暮らしのベッドに早々ともぐりこんでいるのかもしれません。

それでも、布団の片隅に猫がいてくれるだけで、心は少しだけ癒されるのではないでしょうか。本当はぎゅうっと抱きしめたいけれど、猫の安眠も妨害したくないし、そっとスペースを空けてあげたのかも。猫と飼い主の信頼関係がうかがえます。

12月9日週の猫写真

写真提供:北海道 がんちゃんさん

 
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