猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

7月27日週の猫俳句

猫さがす
ビラ見てをりぬ
夕桜

細谷喨々

解 説

街の電柱などに、迷い猫を探すビラが貼られていることがあります。そこには猫の写真とともに、猫種や毛並み、大きさ、鳴き声などの特徴、迷子になった時間や場所、飼い主の連絡先など、たくさんの情報が書かれています。思わず立ち止まって、じっくりビラを読んでしまった、皆さんにも、そんな経験があるのではないでしょうか。

迷い猫のビラには、なんとしてでも猫をみつけたい、という飼い主の強い気持ちが込められています。中には、飼い主一家の子供が、つたない文章で懸命に猫の特徴を伝えようとしているものもあり、心を打たれます。

この句の季語は「夕桜」で春。夕方に見る桜には、一層物悲しさが感じられます。迷い猫は、今頃どこにいるんだろう。無事でいてほしい、できることなら自分が見つけてあげられたなら……夕陽が、桜と猫のビラを照らしています。

7月27日週の猫写真

写真提供:福岡県 レックのママさん

 

7月20日週の猫俳句

香水を
猫に嗅がせて
鳴かれけり

進藤一考

解 説

顔をしかめる猫の姿が目に浮かんできます。季語は「香水」。香水は一年中使われていますが、体臭が気になる夏によく使われるということで、夏の季語となっています。

猫の嗅覚は、人間の20万倍以上といわれています。だから、どんな素敵な香りの香水も、鼻先で嗅がされては、猫にとっては迷惑なだけでしょう。猫が鳴いたのは、警戒か抗議の声に違いありません。

猫に香水を嗅がせたのは、飼い主でしょうか。もしかすると、気難しい先生や上司にお中元を届けにいった人が、普段いじめられている仕返しとして、相手の飼い猫にイタズラをしたのかも。猫にとっては災難ですが、こんな仕草にも、猫の愛らしさが感じられる一句です。

7月20日週の猫写真

写真提供:東京都 舟さん

 
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