猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

6月1日週の猫俳句

冬晴や
亡き猫の名の
パスワード

岸本晴朗

解 説

第一回猫俳句大賞の佳作受賞作品。この句は、猫をテーマとしていますが、実際に猫が登場するわけではなく、亡くなった猫の名前を詠んでいます。インターネット銀行口座を作るときなどに、パスワードの設定が必要になりますが、そのパスワードを、猫の名前にしているようです。例えば、6月2日に生まれた愛猫のモモなら、momo0602といった感じでしょうか。

パスワードを入れるたび、飼い主は愛猫のことを少し思い出すのかもしれません。この句の季語は「冬晴れ」。少し寒さが和らぐ穏やかな冬の晴れた空へ、天国の猫への祈りがのぼっていくような、さりげなくも深い愛を感じる一句です。

6月1日週の猫写真

写真提供:和歌山県 中村まふゆさん

 

11月23日週の猫俳句

黒南風や
沖をみてゐる
猫ひとつ

島 青櫻

解 説

「黒南風」は夏の季語で、梅雨の時期に吹く南風のこと。読み方は「くろはえ」です。黒い雨雲に覆われた空に、湿った南風が吹いていく。海辺には、遥かな沖を見ている猫が一匹。きっと、その背中には哀愁が漂っていることでしょう。

猫は自由で独りを愛する生き物、というイメージがありますが、沖を眺めながら「そろそろ嵐が来そうだな」などと呟く渋い姿に、近所のメス猫たちもメロメロになっていたりして。本当は、ただお腹をすかせて、「うまい魚が降ってこないかな~」なんて考えているだけかも知れませんが。

黒南風に対して、梅雨明けの、空が明るくなる頃に吹く南風のことを白南風(しろはえ)と呼びます。こういった風の名前からも、四季とともに生きる日本人の繊細さ、季語の奥深さが感じられますね。

11月23日週の猫写真

写真提供:東京都 新井素子さん

 
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