猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

11月29日週の猫俳句

暴れ猫
蜜柑の山を
崩しけり

西章泉

解 説

第三回猫俳句大賞の入選句より。季語は「蜜柑」で冬。

冬の猫の句といえば、まずイメージするのは炬燵でのんびり過ごす猫。また、炬燵からの連想では蜜柑も思い浮かべられますが、蜜柑の皮には猫のからだに有害な成分が含まれるそうです。

それを知ってか知らずか、掲句では猫が勢いよく蜜柑の山を崩しています。 手遊びに山のように堆く積んでいた蜜柑の山へタックルしたのか、山盛りの蜜柑の籠を伝家の宝刀・猫パンチで薙ぎ払ったのか。

「暴れ猫」という表現から、猫の野性味、動きの機敏さが感じられますね。 寒さの厳しい冬でも、家の中で元気に過ごす猫の生き生きとした様子が目に浮かびます。

11月29日週の猫写真

写真提供:神奈川県 さちよさん

 

11月24日週の猫俳句

猫が舐むる
受験勉強の子の
てのひら

加藤楸邨

解 説

季語は「受験」で春。傍題には「入学試験」「受験子(受験生)」など。

「受験」が春の季語なのは入学試験が主に2~3月に行われるためです。でも、実際の受験勉強はずっと前に本格化していますね。

受験勉強では、ふと孤独感に苛まれることもあるかと思います。そんな時に、掲句のように猫が傍らにいて手のひらを舐めてくれたなら、何だか心強く、少し肩の力を抜くことができるかもしれません。

掲句はかなり大胆な破調(5・7・5のリズムから外れること)の句で、 ザラザラとした猫の舌の感覚、猫が舐める頭の往復のリズムにも繋がるところがあるように思えてきます。

11月24日週の猫写真

写真提供:愛知県 えるさん

 
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