猫俳句バックナンバー
8月16日週の猫俳句
台風一過
白猫の
なほ白し
堀本裕樹
解 説
『海辺の俳人』(堀本裕樹著・幻冬舎刊)より。
猫俳句大賞の審査員長を務める堀本裕樹さんの『海辺の俳人』は、俳句の織り交ぜられたエッセイ集。掲句は、二匹の猫を心配しながら台風の日を過ごした「白猫さんとカリちゃん」の最後に置かれた一句です。
本文を読むと、この句は単に「台風一過の青空の下、白猫が明るい日の光を受けて更に白く輝いているように見えた」というだけではなく、
野良猫である「白猫(はくびょう)さん」の体が台風の雨で洗われたのだと気付いた作者の目線、猫の細い体つきや命のことも重ねて想像されます。
季語は「台風」で秋。
まさに今、関東では台風7号が猛威をふるっています。夜更けには更に北上するようですので、東北の皆様もお気を付けください。
『海辺の俳人』は幻冬舎Plusで試し読みできます。
他でもない今日読むと、台風を今耐えている猫がきっと近くにいるであろうことが思われます。
8月16日週の猫写真
写真提供:熊本県 鐵谷知会子さん
7月12日週の猫俳句
すれ違ふ
白猫の背に
かなぶんぶん
くま鶉
解 説
第四回猫俳句大賞の佳作句より。
白猫のやわらかな背中、そこに小さな緑色のつやつやしたカナブンが付いていたという大小・色・質感の対比が鮮やかな一句です。
すれ違う人間の目から猫の背を見下ろすカメラワークも自然で、景を想像するとカナブンに夏の日差しが当たって一瞬きらっと光ったようにも見えてきます。
季語は「かなぶんぶん」で夏。
猫俳句大賞では季節問わず猫をテーマにした俳句を応募いただけますが、実は季節の中でも圧倒的に応募作が少ないのは夏の句です。
一方で、春や冬の句はとても多い印象です。
猫そのものが季語になっている(春は恋猫・子猫、冬は炬燵猫など)ことや猫のあたたかみの感じられる季節だからなのかも?と予想しています。
もちろん応募作全体の季節の偏りによって審査基準が変わることはありませんが、掲句のような夏ならではの猫の句にも是非チャレンジしてみてくださいね。
ご応募お待ちしております!
7月12日週の猫写真
写真提供:熊本県 鐵谷知会子さん