猫俳句バックナンバー
10月18日週の猫俳句
猫ちぐらから
手を付ける
冬支度
ちゅんすけ
解 説
第五回猫俳句大賞の佳作句より。
猫を愛する皆さんはよくご存じかと思いますが、「猫ちぐら(猫つぐら)」とは猫用の寝床の一種。
新潟県や長野県産の稲わら・紙紐等を編んで作ったものが有名で、ころんとした可愛らしい形が思い浮かびます。
この句の中に猫は直接登場しませんが、猫と暮らすひとの生活がリアリティをもって見えてきます。
庭木に雪吊や藪巻を施したり、暖房器具を出したり、カーテンや絨毯を冬用のものに取り換えたり…といった冬の支度をするときに、このひとは最初に猫ちぐらから手を付けたのです。
「最近寒くなってきたから温かい猫ちぐらを出しておかなきゃ」という猫ファーストな姿勢が伺えます。
季語は「冬支度」で晩秋。
第五回猫俳句大賞で審査員を務めていただいた保坂和志さんのコメントはこちらからご覧いただけます。
皆さまも冬の猫の思い出をぜひ俳句に表現してみてくださいね。
10月18日週の猫写真
写真提供:熊本県 鐵谷知会子さん
8月16日週の猫俳句
台風一過
白猫の
なほ白し
堀本裕樹
解 説
『海辺の俳人』(堀本裕樹著・幻冬舎刊)より。
猫俳句大賞の審査員長を務める堀本裕樹さんの『海辺の俳人』は、俳句の織り交ぜられたエッセイ集。掲句は、二匹の猫を心配しながら台風の日を過ごした「白猫さんとカリちゃん」の最後に置かれた一句です。
本文を読むと、この句は単に「台風一過の青空の下、白猫が明るい日の光を受けて更に白く輝いているように見えた」というだけではなく、
野良猫である「白猫(はくびょう)さん」の体が台風の雨で洗われたのだと気付いた作者の目線、猫の細い体つきや命のことも重ねて想像されます。
季語は「台風」で秋。
まさに今、関東では台風7号が猛威をふるっています。夜更けには更に北上するようですので、東北の皆様もお気を付けください。
『海辺の俳人』は幻冬舎Plusで試し読みできます。
他でもない今日読むと、台風を今耐えている猫がきっと近くにいるであろうことが思われます。
8月16日週の猫写真
写真提供:熊本県 鐵谷知会子さん