猫俳句大賞

猫俳句バックナンバー

11月23日週の猫俳句

黒南風や
沖をみてゐる
猫ひとつ

島 青櫻

解 説

「黒南風」は夏の季語で、梅雨の時期に吹く南風のこと。読み方は「くろはえ」です。黒い雨雲に覆われた空に、湿った南風が吹いていく。海辺には、遥かな沖を見ている猫が一匹。きっと、その背中には哀愁が漂っていることでしょう。

猫は自由で独りを愛する生き物、というイメージがありますが、沖を眺めながら「そろそろ嵐が来そうだな」などと呟く渋い姿に、近所のメス猫たちもメロメロになっていたりして。本当は、ただお腹をすかせて、「うまい魚が降ってこないかな~」なんて考えているだけかも知れませんが。

黒南風に対して、梅雨明けの、空が明るくなる頃に吹く南風のことを白南風(しろはえ)と呼びます。こういった風の名前からも、四季とともに生きる日本人の繊細さ、季語の奥深さが感じられますね。

11月23日週の猫写真

写真提供:東京都 新井素子さん

 

11月16日週の猫俳句

小春日の
猫に鯰の
ごとき顔

飯田龍太

解 説

猫の頭を撫でている時、猫の耳を手でぺたんと折ると、アザラシみたいな顔になりますよね。愛嬌のある丸顔とヒゲの組み合わせが、そう感じさせるのでしょうか。この句ではアザラシではなく、「鯰(ナマズ)のごとき顔」と描写されています。アザラシよりも、さらにぐにゃんと弛緩して、とろけそうな顔を想像してしまいます。

この句の季語は「小春日」です。小春は、春ではなく陰暦10月の異称で、小春日とは、まだ本格的な冬に入る前の、春を思わせる晴れた日のこと。暖かな日差しを浴びてごろ寝する、リラックスの極致にいる猫は、確かにナマズのようなぼんやり顔に見えるのかもしれません。ヒゲもだらんと垂れ下がっていることでしょう。

きょうは小春日だな、と感じたら、猫が集まりそうな公園や空き地の日溜まりに行ってみましょう。とろけそうな顔をした猫ナマズが、大漁かもしれませんよ。

11月16日週の猫写真

写真提供:東京都 小谷由果さん

 
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