猫俳句バックナンバー
8月8日週の猫俳句
猫の眼の
ひらいてとぢて
遠花火
横山白虹

解 説

本日8月8日は「世界猫の日」。
人と猫とが友情を深め合い、猫の安全と幸せについて考える日だそうです。
そんな記念日ですから、昭和の時代に詠まれた掲句も敢えて現代に置きかえて想像してみます。
猫はもちろん安全な室内にいて、部屋の窓辺から花火の遠くあがる空を飼い主と一緒に眺めているのではないでしょうか。
音もない硝子越しの遠花火の輝きと、ゆっくりと目をひらいてとじる猫の瞳のきらめきが重なり合って、
飼い主にとって、この猫がいっそう愛おしく見えたかもしれません。
季語は「遠花火」で初秋(歳時記によっては夏に分類)。
8月8日週の猫写真

写真提供:神奈川県 さちよさん
7月16日週の猫俳句
点描の
黒猫の眼の
夜寒かな
堀本裕樹

解 説

『短歌と俳句の五十番勝負』(新潮文庫/穂村弘・堀本裕樹著)より。
作者はお題である【黒】の一字から「黒猫」、つづいて「点描」を発想し、
天から降りて来るようにするりと出来上がった一句だったと述懐しています。
黒と点、猫と描はそれぞれ構造の似た漢字です(「眼」も遠くない)。
掲句をじっと眺めていると、どことなく無機質な、底知れぬ冷たさを感じてくるのは何故なのでしょうか……。
季語は「夜寒」で晩秋。
7月16日週の猫写真

写真提供:東京都 美羽さん