6月25日週の猫俳句
梅雨の椅子に
暗き顔置き
猫も老ゆ
加藤楸邨

解 説

角川俳句の今月号の特集が「生誕120年 加藤楸邨」だったのを見て、本棚から加藤楸邨句集『猫』(ふらんす堂文庫)を手に取りました。
楸邨の猫俳句と言えば【百代の過客しんがりに猫の子も】が有名ですが、
句集『猫』にはなんと120句(!)もの猫の句が収録されています。
掲句は、まさしく今のじっとりとした梅雨の空気の重さ、身体のだるさが猫を通じて見えてくる一句。
季節の変化を敏感に感じ取る猫は、雨ばかりの暗く湿った日々にうんざりしているのでしょう。
猫「も」とあるので、猫と長く暮らしてきた作者も自身にどこか老いを感じていることが分かります。梅雨明けはまだ先のようですね。
季語は「梅雨」で仲夏。
6月25日週の猫写真

加藤楸邨句集『猫』(ふらんす堂文庫)