猫俳句大賞

7月6日週の猫俳句

蟷螂の
斧向けられし
猫の顔

加藤楸邨

解 説

蟷螂(とうろう)はカマキリのことで、秋の季語。自分の弱さをかえりみず、巨大な敵に軽率に挑んでしまうことを「蟷螂の斧」といいますが、自分に向かって前足を振り上げて威嚇してくるカマキリに対して、猫はいったいどんな顔をしたのでしょう。

「なんだこいつ。こんなちっぽけなヤツ、戦えば100%おれが勝つはずだけど……なんで逃げないんだろう。毒でも持ってるのかな」と、気味悪そうな顔でカマキリを眺めていたのかも。

猫は基本的にポーカーフェイスと言われていますが、小さなカマキリの思わぬ抵抗にあって、つい平静を失ってしまった猫の姿に、作者は面白みを感じたのかもしれません。

7月6日週の猫写真

写真提供:東京都 葉菜さん