猫俳句大賞

10月28日週の猫俳句

哀しみの
かたちに猫を
抱く夜長

日下野由季

解 説

季語は「夜長」で秋。哀しいことがあった時ほど、夜の長さが身にしみます。何か哀しい出来事に見舞われた人が、飼い猫を抱きあげて堪えている時、普段は気まぐれな猫が、抱かれたままでいてくれている――そんな情景が思い浮かびます。

以前、ある動物学者が、こんなことをいっていました。

「猫は、生まれたばかりの子猫でも、飼い主を甘やかせてくれる。年をとって、老猫になっても、赤ん坊のように甘えてきてくれる。そこが魅力なんです」

猫は、マイペースに生きているように見えて、一緒に暮らしている飼い主を、特別な仲間と認識してくれているのかもしれません。秋の夜長、静かに抱かれている猫から、大いなる優しさが感じられる一句です。

10月28日週の猫写真

写真提供:神奈川県 かむ子さん