猫俳句大賞

11月25日週の猫俳句

秋の夜の
猫のあけたる
障子かな

細川加賀 

解 説

この句の季語は「秋の夜」。秋になると、夜が長くなりますが、美しい月や虫の声など、しみじみとした秋の趣が感じられますね。そんな秋の夜に、猫が障子を開ける。ガチャガチャと慌ただしく開けるのではなく、静かな夜に、すぅっと障子が開かれる感じがします。

猫は、飼い主に用があって、障子を開けて入ってきたのかもしれません。「ご主人、夜空を御覧なさい。月が綺麗ですよ」とか、「今宵は、珍しい虫の鳴き声がしませんか」などと報告に来たのでしょうか。何も用はないけれど、寂しくて飼い主を探していたのかもしれませんね。

猫は障子やふすまを器用に開けて、部屋を移動することができます。でも、閉めてはくれないんですよね……ちなみに、障子は冬の季語なのだそうです。この句には、季語が二つあることになりますが、障子は一年中ありますので、今回の主となる季語は、「秋の夜」になります。

11月25日週の猫写真

写真提供:栃木県 きなりさん